ミトコンドリア生命体を増やす
20億年前に合体
38億年前に発生した生命(この生命の発生はどんどん年代は遡っている)は、約20億年前、ミトコンドリア生命体と合体した。
その大事件の結果、新しい生命たは、大気中に増えた酸素に適応することができるようになったのである。
この偶然の合体がなければ、多細胞生物から、そして知的生命体の誕生はなかったことだろう。
この共生が生物の寿命というものを同時に生み出したのではないだろうか。
母体となる解糖系の微生物には、もともと寿命という概念がない。
環境さえ整っていれば、いつまでも生きている。
老化、老衰することは基本的にない。
1万年以上生きている微生物も確認されている。
ミトコンドリア系のDNAには、解糖系DNA細胞分裂を阻害する遺伝子情報がある。
だから、ミトコンドリアが多い器官は、分裂がし難い。
再生、修復がされないと、それは、老化につながり、老衰し終には死滅ということになる。
つまり、寿命がある。
ミトコンドリアは、自分の身を守るために細胞分裂を抑制したらしいが、
そのために、生物は寿命というものを獲得してしまったのだろう。
酸素を利用してエネルギー生成
ミトコンドリア系は、酸素を使って、食事で得られた糖や脂肪、たんぱく質や解糖系で生まれたピルビン酸を材料にエネルギ―をつくり出す。
ミトコンドリア系は、ミトコンドリア内で、酸素を使って高体温の環境で働く。
グルコース(ブドウ糖)1分子当たり、36分子(計38分子)のATPが生成される。
これは解糖系の18倍、あるいは19倍の効率で、安定的にエネルギ―をつくり出すことができます。
若いときは、解糖系エネルギーが主体で、成人になると同等になる。
そして、老齢になると、ミトコンドリア系主体で、エネルギーを生成するようになる。
ミトコンドリアの多い所
細胞分裂がほとんど行われない以下のような器官にミトコンドリアは沢山存在する。
骨格筋(赤筋)、心筋、ニューロン(脳神経細胞)、卵子(10万個)など。
ミトコンドリアが多い器官では、分裂が抑制されなかなか行われない。
ミトコンドリアを増やす方法
果たして、ミトコンドリアを増やす行為は、長寿に繋がるのだろうか?
多いと細胞分裂を抑制してしまい分裂できずに老化してしまうような気もするし、少ないのもミトコンドリアの活性化を失い老衰して行ってしまう気がする。
老化の謎は、未だ解き明かされていない。
しかしながら、ミトコンドリアが深く関係していることは確かなようだ。
そのミトコンドリアですら、私にはどうすれば良いのかも分からない。
一般的には、ミトコンドリアが多い方が良いと言われている。
そこで、ここでは、ミトコンドリアを増やす方法を探ってみた。
深呼吸
これは、ミトコンドリアが好気性で、酸素を利用してエネルギーを生成しているので、酸素を送ってやると元気になり、増殖するという原理であろう。
体を温める
ミトコンドリアは、37度の高温で活性化されるので、お風呂などで身体を暖めると増殖する。
細胞の修復、再生にはミトコンドリアのエネルギーが必要で、体を温めた方が良い。
空腹感
血糖値が低い状態は、解糖系がエネルギーを生成し難いので、ミトコンドリア系が働く。
加圧インターバル運動
無酸素加圧トレーニングを数分行った後、負荷の軽い運動に切り替える。
無酸素状態では、解糖系エネルギーが使用され、それでは足りない状態なると、激しく息をしながらミトコンドリア系が活性化してエネルギーを作り出そうとする。
副交感神経を働かせる
ストレスをできるだけ減らす。
リラックスして副交感神経を優位にすることにより、血管が拡張して血液循環が良くなるとミトコンドリアは増えます。
ミトコンドリアの多い人
マラソン選手は、持続性エネルギー源であるミトコンドリアが多い。しかし、決して長寿とは言えないようだ。
選手生活を止めてから、ミトコンドリアがどのように変化しているのかも分からないので、何とも言えない。
長野県は、日本で一番長寿である。
空気の薄さが関係している気がするのだが、空気が薄いと活性酸素の発生が抑えられるのか、それとも、
ミトコンドリアの生産性が落ちるために、ミトコンドリアの数が増えているのか。
全く分からない。
少し高地の空気の薄い地域に住み住民の平均寿命は長いという。
好気性のミトコンドリア系DNAの数や活性度が寿命になんらかの関係をしていることは既に知られている。
遺伝学的にあるいは薬理学的にミトコンドリアの活性を制御すると、寿命の長さに大きな影響を与えることがすでに報告されています。
しかしながら、ミトコンドリアのエネルギー代謝がどのようなメカニズムで寿命の長さを調節しているかについて詳細は分かっていません。
ミトコンドリアが少ないと長寿
次のような研究報告があります。
線虫を用いてミトコンドリアにおける代謝と寿命の関係
野性株でプロヒビチンをノックダウンさせるとミトコンドリア量が増加したが、daf2およびdaf7でプロヒビチンをノックダウンさせるとミトコンドリア量が減少した。また、野生株よりも寿命が長いdaf2およびdaf7ではミトコンドリア量が減少した。したがって、ミトコンドリアの量が減少することによって寿命が長くなることが明らかになった。
代謝活性を低くすると寿命が長くなるという報告がこれまで多数あり、代謝と寿命は切っても切り離せない関係なので、人間の寿命を長くするという究極の目的のため、代謝研究は今後もますます重要になっていきます。
おっと、考え方を全く変えないといけないかも知れません。
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