脳細胞も再生できる
生まれた時には140億個ほどあった人の脳細胞は、70歳になると約半分になり、生まれた時から脳の老化は始まっていると言われています。
・人の名前が思い出せない
・何をしようとしたか忘れてしまう
・計算が遅くなり、億劫になってきた
シニア世代の方々に限らず、若い頃にくらべて脳の働きが衰えたのでは? と感じておられる方も多いと思います。
現代に生きる私達は、長寿に恵まれた分、”脳の老化” に長い時間向き合うことになった、と言えるのではないでしょうか。
■ 脳の老化は防げる。
これまで脳の神経細胞は青年期を過ぎると一日10万個のペースで死んでいき,また一度死んでしまったら二度と再生できないといわれてきました。
ところが,近年の研究により,この考えが間違いであることが分ってきました。
米国の研究によると脳細胞の分裂や増殖は70歳を越えても行われるということです。
逆に,強いストレスや悲観的状態が脳細胞(とくに海馬)を死滅させることも明らかになってきました。
脳は大きく外側の灰白質と,内側の白質に分かれます。
この灰白質は神経細胞の集合体であり,白質は電気信号の出力繊維である軸索の集合体です。
老化するとこの神経細胞の減少よりも,この軸索部分の劣化の方が大きいということも解明されています。
しかし,この白質の軸索部は老化するといっても,成長しピークに達するのは高齢に達した時だと言われています。
この軸索部は脳に刺激が送られると,多くの側枝を出して他の神経細胞とネットワークを作ります。
また,今ある細胞だけでは処理しきれなくなると,海馬の中に新しい神経細胞が分裂して生まれ,記憶を中心としたネットワークが誕生するのです。
常に、脳に悲観的なストレスをかけず、意欲的であることが、一番大切です。
■ 軸索
軸索はミエリン(髄鞘)と呼ばれる脂質に富んだ白い物質で何層にも取り巻かれている。
ミエリン自体は絶縁体だが,神経信号を素速く伝える役割をする。
軸索にはところどころミエリンの途切れた隙間(ランビエ絞輪)があり,信号はこの隙間を伝播する。
軸索の集まりは白く見えることから「白質」,ニューロンの細胞体(核のある部分)の集まりは「灰白質」と呼ばれる。
神経科学の研究は長い間,灰白質に集中していた。
記憶が貯蔵されている細胞体こそが脳の主役で,軸索はただのケーブルと考えられていたからだ。
しかし近年,多発性硬化症をはじめ,ミエリン異常がかかわると考えられる病気が多数見つかった。
また,経験や環境によって白質の発達に違いがあることも明らかになり,白質と学習の相関を裏付けるデータも得られている。
ピアニストと一般の人の脳画像を比較したところ,プロでは特定の領域の白質が発達していることがわかった。
ミエリンは生まれたときには脳の一部にしかなく,その後20年をかけて,脳の異なる領域で次々につくられていく。
ミエリンが未完成の若い脳では,軸索は外からの刺激に応じて新しい枝を伸ばしたり引っ込めたりできるため,新しいことを学べる余地が大きい。
成人してミエリン化が終了するとともに軸索の枝は完成し,学習の可能性も狭まると考えられる。
前述のピアニストの研究によると,幼いころから練習を始めた人ほど,白質が脳の広範囲に及んでいるという。
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