ダウンエイジング (Rejuvenating)

Antiaging 時代は終わった。今や、ダウンエイジング(Rejuvenating)時代だ。何故なら、全ての細胞、器官は再生可能だ。即ち元来、人には若返る力がある。だから将来、不老不死の時代になるという人も居る。多分そうなるに違いない。

新2つのDNA不仲老化説

目次

  1. 我らの体には2つのDNAがある
  2. 2つのDNAの勢力図変化
    1. 生殖(合体)
    2. 解糖系優位(幼少時)
    3. ミトコンドリア系が徐々に力を付ける(青年期)
    4. ミトコンドリア系が解糖系と対等になる(中年期)
    5. ミトコンドリア系が解糖系を弱める(晩年期前期)
    6. 解糖系がミトコンドリア系を弱める(晩年期後期)

 

我らの体には2つのDNAがある

一つのDNAで生きている原核生物には寿命はありません。 2つ以上のDNAが共に生きる真核生物のみに寿命があります。  

このブログでは再三述べてきたが、我々の体は、2つの生命体から出来ている。 20億年前に2つは出会い、8億年の年月を経て互いを尊重し、助け合うことができるようになった。

ミトコンドリア( α- プロテオバクテリア)が真核細胞の前身となる細胞のなかで適応し,今日にいたる細胞の生存に不可欠なオルガネラとして共生したものと考えられている。  

そして、互いの力を合わせることにより、多細胞生物へ、更に高等生物へと奇跡的な進化を遂げることを可能にし、そして見事に実現した。  

しかし、2つの生き物は、合体しても所詮、別の生命体なのである。   それぞれが生存本能と利己を持っている。   長い間、同じ屋根の下で二人が暮らすと必ず仲違いするように、細胞内の2つのDNAは対立してしまう。   その対立の結果、老化、老衰が全ての真核生物には現れるのである。   2つのDNAは利己的であるが故に互いに勢力争いし、その結果、病死や老化、老衰が生じているのです。   これが、私の新2つのDNA不仲老化説です。   2つの利己的なDNAは、永遠に仲良く共存することができない。 それが老衰、老化の原因です。  

老化とは、2つの利己的なDNAが同じ場所に共存したために必然的に起こってしまった現象です。    

2つのDNAの勢力図変化

2つのDNAを持った生物は以下のような経緯を辿る。  

1.生殖(合体)

これは、皆さん良くご存知のことと思います。 DNAに着目すれば、母方の核DNA半分とミトコンドリアDNA+父方の核DNA半分の合体です。 このような合体だから、ミトコンドリアDNA(mtDNA)は、必ず母方の遺伝子情報なのです。 その時、卵細胞には、既に10万個のミトコンドリアがあります。  

2.解糖系優位(幼少時)

卵細胞は、受胎後、60兆個の細胞に分裂していきます。 10万個あったミトコンドリア自身も分裂していくのですが、1つの細胞に数百から数千存在するミトコンドリアの数まではなかなか追いつきません。 幼少時は、核DNAが優勢で解糖系エネルギーが優位に働いています。 解糖系エネルギーは、生成時間が短く、瞬発的な動作に対応したエネルギーです。 一方、ミトコンドリア系はエネルギーの産生効率は高いのですが、生成に時間がかかります。 だから瞬発力のある動作に長けている子供は、走り回り、そして、エネルギー効率が悪いので直ぐに疲れて寝てしまうのですね。    

3.ミトコンドリア系が徐々に力を付ける(青年期)

さて、細胞分裂が終わり、成長が止まった時の10代後半は、解糖系エネルギーがまだ優位の時期です。 ミトコンドリアDNAの数も、まだ、十分でないのでしょう。   大人の体になってからも、細胞分裂は続いています。 常に古い細胞が死に、新しい細胞が生まれています。 これが新陳代謝ですね。   常に分裂と消滅がバランスして、体を維持しているのです。   一方、そうしている間に、ミトコンドリアの分裂が核DNAの数に追いつくと同時に更にその勢力を増して行きます。 それが均衡状態になるのが、お肌の曲がり角と言われる25歳くらいだと思われます。   その後、ミトコンドリアの数自体は、青年期と老年期でほとんど変らないようです。  

4. ミトコンドリア系が解糖系と対等になる(中年期)

さて、25歳以降、しばらくは、核DNA勢力とmtDNA勢力が均衡しながら、少しづつmtDNAの勢力が増して来る時期がつづきます。 個人差がありますが、25歳くらいから35~50歳くらいまでは続くでしょうか。   遅かれ早かれ、エネルギー効率の良いmtDNAが徐々に優位になっていきます。  

5.ミトコンドリア系が解糖系を弱める(晩年期前期)

晩年期前期は35歳~50歳くらいから始まります。 いつまでも2つのDNAの均衡が保たれて仲良く暮らしてくれれば良いのですが、そうはなりません。 ミトコンドリア系エネルギーが産生効率が良い為か、徐々にミトコンドリアの勢力が増してきます。   限られた同じスペースで生きている2つのDNAは、利己的であるので、自分達の勢力を拡大するにつれて、一方のDNAが邪魔になります。 だんだん生きづらくなってくるのです。 全てのDNAは利己的にプログラムされているようなのです。   そして、ミトコンドリアは、核DNAの活性(解糖系エネルギー)を劣化させ始めます。   このころから、スポーツ選手などは、年齢と共に瞬発力(解糖系)が衰えていくるので、体が頭についてこないように感じを覚え、体力の衰えを自覚し出します。 そして、体力の限界を感じて引退するのです。   解糖系の衰えが、すなわち白筋(速筋)の衰えに繋がっていきます。 だんだん速い動作が苦手になって行きます。 普段、走ることもなくなってきます。   ミトコンドリアには、核細胞分裂を抑える機能が備わっています。 解糖系エネルギーの活性度を抑える機能も備わっているのでしょう。 勢力を増したミトコンドリアにより細胞分裂は抑えられ、新陳代謝は悪くなり、肌の老化などが徐々に進み始めます。 シワ、しみは増えだし、髪は細く、薄くなり白髪が増えます。 基礎代謝は核DNAの不活性化に伴い、当然減りますが、もともと解糖系エネルギーの産生の割合は小さいので目に見えて減るわけではありません。    

6. 解糖系がミトコンドリア系を弱める(晩年期後期)

60歳から80歳くらいに始まります。 既に核DNAがミトコンドリアDNAより不活性化されていて、生命活動は、衰えてきています。   そして、それが更に進むと、生きにくくなった核DNAが終に反撃にでます。 ミトコンドリアDNAの活性を弱めだすのです。 それが、核ゲノム修飾(メチル化)です。 核DNAは、自己防衛反応なのか、ミトコンドリアの呼吸活性を抑える(呼吸欠損)のです。   それによって、全体的に生物の生命活動は不活発になり、明らかに基礎代謝は減り、老化が顕著になります。   解糖系エネルギーの能力もミトコンドリア系のエネルギー能力も両方落ちているので、どんどん生命活動は低下するのです。   これこそが、真核生物の老化、老衰現象です。   2つのDNAは互いに、相手のDNAを死亡させたり、劣化させたりする能力があります。 下に示すようなお互いのDNAが持つ機能を使って、人は誕生後、成長し成人し、やがて老衰して死んで行くのです。  

・核DNAがミトコンドリアを攻撃

      ネクローシス: 膨張して爆発することにより、ミトコンドリアも膨化排除       

      ゲノム修飾 : ミトコンドリアの呼吸活性抑制

・ミトコンドリアが核DNAを攻撃

      アポトーシス: 核DNAを分断、破壊       

      ミトコンドリアの放出タンパク : 細胞分裂の抑制、解糖系エネルギーの抑制  

長い長い共存の歴史の中で、互いに互いを攻撃、抑制、破壊する術を獲得したのです。      

私は、2つのDNAが永遠には共存できないために寿命が存在するという「2つのDNA不仲老化説」に思い至りました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA